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保育園を経営するには?準備・流れ・資金・補助金・資格などについて解説

保育園

「保育園の経営をしたいけど、どうすればいいの?」

 

「保育園の経営で必要な資格って何?」

 

「そもそも保育園の経営って儲かる?」

 

 

など、保育園の経営について気になっていることはありませんか?

 

近年では、待機児童数に対して保育園数が足りていない問題が注目を集め、保育園を取り巻く環境が認知されるようになりました。

 

そんな複雑な背景のある保育園ですが、保育園を経営したい場合、どうすればいいのでしょう?

 

そこで、今回は保育園を経営する方法について、

・開園までの流れ

・必要な資金

・「許可保育園」と「許可外保育園」の違い

・必要な資格

・保育園の経営はそもそも儲かるのか?

 

など、解説していきましょう。

保育園を経営するための開園までの流れは?
資金・場所の確保・自治体への届出・人材確保・園児の募集などの準備が必要

保育園を経営するには以下の準備が必要です。

・資金

・場所の確保

・自治体への届出

・人材確保

・園児の募集

 

その際、こういった点を定めておきましょう。

・どんな雰囲気、サービスの保育園にしたいのか?

・許可保育園か許可外保育園にするのか?

・園児の人数や施設はどれくらいの規模にするのか?

・開園予定地は待機児童が多いか?

(先に、許可保育園について知りたい方はこちらをどうぞ)

 

開園までの流れはこのようになっています。

①資金を貯める・保育園のコンセプトを決める・保育について学ぶ

②自治体に相談(自治体への相談、許可保育園を公募しているか確認)

③保育園設立に必要な土地・物件を確保

④保育園の内外装工事

⑤保育士など人材確保

⑥自治体に届出を提出(新規で施設を作った場合)

⑦宣伝・園児の募集

⑧晴れて開園

 

上記はおおまかな流れですが、方法によっては順番が前後することもあります。

 

②と③に関しては、同時進行で進めていくといいでしょう。

保育園の経営では、自治体などに提出する書類や手続きなど大変。
行政書士に依頼しよう

保育園の経営準備には行政書士の助けが欠かせません。

 

というのも、保育園をはじめとした施設を作った場合、法務局に登記の申請をする必要があるからです。

 

登記の申請には、所有権証明書や建物の設計図、委任状など複数の書類が必要です。

 

許可保育園の申請にも、こういった書類が必要です。

・職員の履歴書

・保育士登録証の写し

・保育園の案内図・配置図・平面図

 

保育園の開園準備のかたわら、こういった書類をそろえたり確認したりするのは大変ですよね?

 

また、そもそも行政に提出する保育園の許可申請ができるのは、国家資格を持つ行政書士しか認められていません。

 

いずれにせよ、保育園の経営準備には行政書士に相談、依頼する必要があります。

 

 

ではまず、保育園を経営するにはどのくらいの資金が必要なのか、次章で解説しましょう。

保育園の経営のために必要な資金は、数千万~億を超えるケースもある

保育園を経営するための資金は、建築代など大体を含めると数千万円、さらに億を超えるケースもあります。もちろん、地域や規模によっても異なります。

 

例として、自己負担金が2億円以上になったケースだと、資金の内訳はこのようになっています。

 

【都内の許可保育園の場合】

 

総額

国からの補助・助成金

実際の負担額

建築費

5億円

3億円

2億円

内装工事費

300万円

170万円

130万円

宣伝広告費

30万円

0円

30万円

保育士求人費

20万円

0円

20万円

設備費

150万円

60万円

90万円

コンサルタント費用

10万円

0円

10万円

 

■参照:「保育園経営は儲かる!3つの年収・収入事例や補助金・初期費用から紐解く | トチカム」

https://www.tochicome.jp/nursery-school-money/

 

気を付けたいのが、保育園の資金は初期費用だけでなくランニングコストも大きいことです。

 

上記の保育園の場合、その後のランニングコストとして、月々262万円が必要になっています。

 

保育園を経営するには、準備資金だけでなく、人件費・賃貸料(場所を借りる場合)・水道光熱費・消耗品など諸々発生するので注意しましょう。

自己負担金を減らすためにも、銀行などの融資や制度の補助金を利用しよう

「保育園を経営したくても、まとまった資金がないので厳しい」という方は、融資や補助金を利用しましょう。

 

たとえば、以下のような融資や補助金の方法があります。

・銀行と日本政策金融公庫からの融資を受ける

・許可保育園として、自治体から補助金を受ける

・保育士の「キャリアアップ研修制度」で補助金を受ける

 

融資や補助金を利用して、上手に経営しましょう。

 

 

ところで、保育園の経営でよく登場する「許可保育園」と「許可外保育園」とは何なのでしょう?次章で解説していきましょう。

保育園の経営で大事な「許可保育園」と「許可外保育園」とは?
負担金を減らすなら断然、許可保育園を選ぼう

保育園の経営で欠かせない要素として、「許可保育園」と「許可外保育園」があります。

 

いずれになるかで自己負担金が大幅にかわるため、この2つの要素は大きな分かれ道といえるでしょう。

 

詳しく見ていきましょう。

許可保育園とは国や自治体から許可を受けた保育園のこと。
補助金がおりるので自己負担金が少なくてすむ

許可保育園とは、「国と自治体の定める規定を満たし、許可を受けた保育園」のことです。

 

許可保育園となるための規定をクリアしたうえで、申請をして許可がおりれば補助金をもらえます。補助金の額は、自治体や子供の年齢などによって異なります。

 

許可保育園になると、自己負担金が少なくてすむので、こういったメリットがあります。

 

・保育料が少なくてすむので、園児が集まりやすくなる

・経営側の手元に残るお金が多くなる

 

なお、許可保育園は自治体ごとに公募しているので、事前に公募内容を確認しておく必要があります。

 

その際、自治体に相談して「どのようにすれば許可を受けられるか」など、アドバイスを受けましょう。

許可保育園になるためには、保育士の数などの条件がある

許可保育園になるための規定は、まず国の定める規定をクリアしなくてはなりません。

 

たとえば、保育士の人数は以下のとおりに決められています。

・乳児約3人につき:1人以上

・満1歳以上満3歳に満たない幼児約6人につき:保育士1人以上

・満3歳以上満4歳に満たない幼児約20人につき:保育士1人以上

・満4歳以上の幼児約30人につき:保育士1人以上

・その保育園全体につき、保育士2人を下回ってはならない

 

■参照:「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(◆昭和23年12月29日厚生省令第63号)」

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82069000&dataType=0&pageNo=1

 

上記の人数に対して、必要な保育士の数を割り出していく必要があります。

 

また、保育士の人数以外にも、保育園の面積や避難経路、保育時間なども規定に盛り込まれています。

 

こういった国の規定だけでなく、各自治体の規定もクリアしなくてはなりません。

しかし、はじめから許可保育園になるのは難しい

実際のところ、許可保育園の条件を満たすのは難しいといわれています。

 

たとえば東京都の区の場合、「1年もしくは3年以上の許可保育園の運営実績が必要(もしくは相当する運営実績)」という規定があります。

 

また、「相当する運営実績」すら認められず、「許可保育園のみの運営実績でないとダメ」という区もあります。

 

ただ、近年は待機児童問題のこともあり、こういった規定が今後緩和されるかもしれませんね。

許可外保育園とは自治体から許可を受けていない保育園のこと。
補助金はおりないが自由度が高い

許可外保育園とは、「国と自治体の定める規定を満たせず、許可を受けていない保育園」のことですね。

 

許可外保育園の場合、許可保育園と違って残念ながら補助金が出ません。

 

自己負担金で経営する必要があるため、おのずと保育料も高くなるデメリットがあります。

 

しかし、許可保育園に必要な規定をクリアしなくていいので、「保育時間に柔軟」「教育に力を入れている」など、保護者にとっても自由度が高くなるメリットもあります。

 

また、経営側にとっても、「こういう保育園の経営をしたい!」と、イメージに合わせやすくなるでしょう。

 

ちなみに、許可外保育園から許可保育園を目ざすことも可能なので、一度許可保育園を諦めた人も再チャレンジするといいですね。

保育園の経営で必要な資格は?
経営者そのものには資格は必要ないが、保育をする人は資格が必要

結論から言えば、保育園の経営者には資格を持つ必要はありません。経営のノウハウを知っていれば、資格がなくても保育園の経営ができます。

 

しかし、子供達の面倒を見る保育士や看護師には、国家資格が必要です。人員として雇うなら、資格を持った人を雇わなくてはならないのですね。

 

ちなみに、保育士の資格がない人でも、保育士のサポートを行う「保育補助」として雇うことができます。

保育園の経営者は資格が必要ないものの、保育士の資格は持った方がいい

「保育園の経営者には資格を持つ必要はない」と、お伝えしたものの、実際のところ保育士の資格は持っておいた方がいいでしょう。

 

というのも、昭和47年に厚生労働省から定められた「社会福祉法人の経営する社会福祉施設の長について」という決まりでは、保育園などの社会福祉施設の長(園長)について、このように述べています。

 

・できる限り児童福祉事業について学び、訓練を受けていること

・国公立の保育園の場合は、「児童福祉事業に2年以上従事した者」であること

 

■参照:「社会福祉法人の経営する社会福祉施設の長について(◆昭和47年05月17日社庶第83号)」

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta8274&dataType=1&pageNo=1

 

「保育園できちんと経験を積んでいないと、長(園長)になれません」と決められているのですね。

 

つまり、長(園長)にも、自動的に保育士の資格が求められるわけです。

 

ちなみに、私立の保育園には「児童福祉事業に2年以上従事した者」という決まりがないため、資格がなくても園長になれるといえます。

 

「経営のみを行う」「園長と経営者は別」であれば、必ずしも当てはまる内容ではありません。

 

ただ、保育に関係する者としては、保育士の資格を持っておいた方が断然いいでしょう。

経営者は経営に関する資格も持っておこう

保育園の経営者は、保育に関する資格だけでなく、経営に関する資格も持っておくといいでしょう。

 

経営者の資格には、たとえば簿記や中小企業診断士などの資格があります。

 

お金の流れや、経営に必要な知識が身に付くため、保育園の経営にも役立つでしょう。

 

 

しかし、資格を持っていたとしても、1人でアレコレと調べたりそろえたりするのはとても大変です。

 

そこで、オススメなのが保育園専門のコンサルに相談することです。

保育園の経営が不安なら、保育園専門のコンサルに相談するのもオススメ

保育園の経営に関するコンサルに相談すると、きちんと導いてくれるはずです。

 

コンサルを選ぶなら、こういった点に注目してみましょう。

 

・成功実績は豊富か?

・こちらの立場に立って考えられるか?

・説明は分かりやすいか?

・専門知識が豊富か?

・やる気はあるか?

・相性はいいか?

 

コンサルの手を借りて、無事に保育園の経営を成功させましょう。

【まとめ】保育園の経営はうまく補助金などを使って成功させよう

最後に、保育園の経営についてまとめました。

 

・保育園の経営のために必要な資金は、数千万~億。月々のランニングコストは200万円を超えるケースがある

・「許可保育園」は国や自治体から許可を受けた保育園のこと。「許可外保育園」は許可を受けていない保育園のこと

・保育園の経営者に資格は必要ないが、直接保育に携わる保育士などは資格が必要

・保育園の経営は、専門のコンサルに依頼するのも一つの手段

 

保育園の経営にはいくつかハードルがありますが、一つ一つ条件をクリアし、補助金などをもらって成功させましょう。

【補足】保育園の経営はそもそも儲かるの?

ここまで、保育園の経営について解説してきましたが、「そもそも保育園の経営って儲かるの?」と、気になっている方も多いでしょう。

 

保育園の経営が儲かるためには、「許可保育園である」「自治体などから補助金をもらっている」ことが大きな条件になります。うまく経営すれば、年間何千万円もの利益をあげることも可能です。

 

なぜなら、国や自治体から補助金がもらえるため、経営側の収入が「保育料+補助金」となるからですね。

 

しかし現在、認可保育園をはじめ、保育園にはこんな問題があります。

 

・少子化問題で、今後どんどん子供が集まらなくなる可能性がある

・保育を確保する必要があるのに、保育士が不足している

・とくに東京では許可保育園の新規開園が難しい

・「保育園を作るな」など、周辺住民の反対の声が出ることもある

 

こういった背景から、保育園の経営は長いスパンで見ることが大事です。

 

さらに、保育園の経営は、近年待機児童問題が大きな注目を集めたことから、政府がどんな政策を打ち出してくるかでも変わってきます。

 

今後、保育園の経営を考えている方は、早めに動いた方が吉ですね。

「福祉である」ことを忘れずに保育園を経営しよう

そもそも保育園は本来福祉としての要素が強いものです。単に「経営で儲けよう」となると、心情的に厳しい面があるでしょう。

 

「利益を追求したい」「経営者として手腕を発揮したい」だけでなく、根底に「子供のため」「子供が好き」という意識をもって経営することが大事です。